石井ゆかりの本。

石井ゆかりの書いた本をご紹介します。裏話的な著者レビューです。

『黒い鳥の本』パイ・インターナショナル

黒い鳥の本

黒い鳥の本

2015年発売の『黒い鳥の本』は、『青い鳥の本』シリーズ4作目、ビブリオマンシーの本です。
ビブリオマンシーとは、本をでたらめにぱかっと開いたところに見えた言葉を「占い結果」として読む、ごく古来からある占いです。
この占いは、昔の小説などにも出てきます。聖書が用いられることが多かったようです。
タロット占いやおみくじなど、ランダム性を使う占いの一種です。

実はこのシリーズ、私が毎週書いている「週報」の内容を大幅にリライトしてまとめたものに、書き下ろしを追加して作られています。
沙羅さんの美しいイラストと、私の短い言葉とで構成されていて、アタマから「ミニエッセイ」として読んでいくこともできます。

シリーズ第一作目の『青い鳥の本』は、中学生向けの道徳の副読本に、一部引用されていたりします。
依頼を頂いたときは、嬉しかったなあ。。。

青い鳥の本

青い鳥の本

  • 作者: 石井 ゆかり,梶野 沙羅
  • 出版社/メーカー: パイインターナショナル
  • 発売日: 2011/06/13
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
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2作目が『薔薇色の鳥の本』

薔薇色の鳥の本

薔薇色の鳥の本

3作目は『金色の鳥の本』でした。

金色の鳥の本

金色の鳥の本

1作目の「青い鳥」はもちろん、「幸福の青い鳥」のイメージで出しました。
その段階ではシリーズ化されるとは思っていなかったので、あまりタイトルにこだわりはなかったのですが、2作目・3作目と進むうち、なんで鳥縛りだっけ・・・と、自分でもちょっとオカシイ感じがしました(笑
でも、よく考えると「メッセンジャー」のイメージを持つ鳥は、このシリーズのコンセプトにとてもぴったりしているな、と今は思います。

青い鳥は特にテーマはありませんでした。いわば「プレーン」です。
薔薇色の鳥は「恋愛」、金色の鳥は「お金」にそれぞれ、関連づけていますが、内容はそれほど恋愛恋愛していたり、お金お金していたりはしません。実際、読者の方に「これ、ほんとに恋愛本ですか・・・?」と聞かれたこともあります。すみません。それほどでもありませんでした。

青い鳥から金色の鳥までは、どちらかといえば明るくハッピーなイメージで綴っていたのですが、シリーズ最終作『黒い鳥の本』は、この中では異色でした。
人の心のダークな部分とか、他人に言えない闇のような部分を扱ってみたのです。
ゆえに、この作品はおそらく、いちばん書き下ろし部分が多いんじゃないかと思います。
多分、だれでも、「あまりにも落ち込んでいて、元気づけられたりしたくない時」というのがあると思ったのです。
非常に傷ついているときとか、嫌なことがあった直後とかは、明るい希望などを見るとむしろ、むしゃくしゃしてくることって、ないでしょうか。
絶望したり、徹底的に孤独だったりする時間というのが、人生にはやっぱり、存在していて、そういうときにも「読める本」があってもいいのではないかと考えたのですね。

でも、それまでのシリーズとは雰囲気がものすごく違っていたので、なんとなく「強力プッシュ」するのが憚られたため、ひっそりと発売した、という感じがありました(なんのこっちゃ
文章は、シリーズの中では正直、いちばんよく書けたという気がします。

『青い鳥の本』シリーズは、静かにじわじわと売れました。文字の量はとても少ないのですが、余白の中に広がりがあるような、そんな本になってくれたのかな、と思います。
ころんとした、とてもかわいい、愛らしい本です。

実はこのあとに『白い鳥の本』を作ろうという計画があったんですが、諸事情あって、頓挫してしまいました。
いつか、作る機会があれば、、と願っています。