石井ゆかりの本。

石井ゆかりの書いた本をご紹介します。裏話的な著者レビューです。

WAVE出版『12星座シリーズ』

蠍座

蠍座

2010年にリリースされました、「牡羊座」から「魚座」までのシリーズです。
文庫サイズのハードカバー本という、とても贅沢な装丁の本で、全てデザインが本当!!にかわいらしく、多くの方にご愛読頂き、シリーズ累計120万部を突破しました。
平たくいえば、私の書いた本の中で、いちばん売れた本です。


企画のはじまりはWAVE出版の編集者、飛田淳子さんの
「ミナ・ペルホネンみたいな本が作りたいんです!」
という一言からでした。
ミナ・ペルホネンと言えば、ファッションブランドです。

ブランド「みたいな本」って、どういうことやねん

そう思いました。
詳しく聞くと、

装幀にテキスタイル的な感じを使って、文房具っぽいようなカワイイ本をつくりたい

というアイデアのようでした。
なるほど。
しかし、私は著者です。

ナカミは何を書くのだろう

と思いました。

そこから二人で話し合って、それより前に出した『12星座』を、12冊にバラしたような本を作ろう、ということになったのです。

12星座

12星座

というのも、この『12星座』、正直、二人で予想したほど売れなかったのです(爆)
私自身、すごくよく書けたと思った自信作だったんですが、なかなか売れなくて、ガッカリしていたのです。
で、飛田さんと「どうして売れなかったんだろう」という話をして、
「やっぱり、自分の読めるところが12分の1って、少ないかも」
と思い当たりました。
12星座のことを書いた本なら、まず、自分の所を読む人がほとんどだと思います。
で、それを読んじゃったら、ほかはまあ、知り合いや身近な人たちのページを少し読んで、満足できます。
ならば、立ち読みで十分かもしれません。
こんな分厚い本を買う必要は、ないかもしれません。

実は『12星座』は、星座同士が実はばらばらなものではなく、一つの輪のように、物語として繋がってる、ということをご紹介したくて書いた本でした。なので、けっして12このバラバラの記事を1つにまとめただけのものではなく、1冊通して読めるものなのですが、やはり「占い」というものの本質で、「自分と関係があるか、関係がないか」ということを、私たちは直観的に判断します。この「判断」のシャープさ、シビアさは、本当に驚くほどです。アタマではなく、心が「これは自分に関係がある・ない」を、考えるより先に「知ってしまう」ような感じがあります。人間の心は、本当に不思議です。

ならば、1冊丸ごと「その人の本」だったら、どうだろう!
そう考えたわけです。


アホみたいに文章を書いていた当時の私ですが、12冊を一気に書くのはやはり、難しく、飛田さんとしても12冊同時というのは非現実的だな、ということで(数年後にはそれをやるんですが--;)、三回にわけてリリースしました。
後ろの方の星座の皆様には、やきもきさせて申し訳ありませんでした^^;)
でも、文章は、どうしても、尻上がりにだんだんよくなっていく部分もあるんです。
たくさん書いて、入りきらないので大幅に削る、という作業が続きました。
いちばんたくさん書いた(そして削った)のは、蠍座だったような気がします。

実はこれを書いている最中、家族の病気とかいろんなことがあったんですが、何とか乗り越えました。
今でも、イベントをやるとき、この本を持ってきて「サインを」と言ってくださる読者の方がいらっしゃいます。何度も読んで頂いて、本のカドがすり切れて、カバーの折り目が破れて、というような状態になった本を見ると、本当に嬉しい気持ちになります。本当に読んでくださっている、という感じがします。

この本のリリース直後に震災が起こり、世の中は一変しました。
こんなたいへんな時期に星占いの本なんて、と思いましたが、仙台の丸善アエル店さんに読んで頂き、イベントをしました。
海のほうが見渡せる部屋で、たくさんの方の前でお話をし、サイン会をしました。
皆さんの声が涙を含んで震えていましたが、震災の夜、大停電となり、空にたくさんの星が見えた、というお話を伺いました。
そのお話が、今も、心に残っています。

「デジタル書籍が一般的になった現代において、紙の本をつくることにどんな意味があるのか」。
一時期、色々な編集者さんと、その話をしました。
明確な答えはいまだ、出ないのですが、その話の中でしばしば「お守りのような本」というフレーズが登場しました。
「デジタルのお守り」というのはたしかに、なかなかむずかしいように思われます。

ボロボロになったこの「12星座シリーズ」を見ると、お守りのように大事にして下さっているのかもしれない、という気持ちになります。
そして、仙台で「星を見た」というお話をして下さった方々の胸に、星がお守りのように輝いたことを思い出します。

iyukari.hateblo.jp


全部貼るとたいへんなので、あと二星座だけ貼ります^^;)

射手座

射手座

山羊座

山羊座

公式サイトはこちら。
12seiza.jp